三社祭を仕切る!〜東部町会青年部に聞く〜
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東部青年部連合会会長 近藤英夫さん
1967年生まれ。
14歳の頃から地元・東5番聖天町の青年部に入団し、三社祭に関わる。
同町の青年部部長を務めた後、その上部組織である東部青年部連合会の会長に就任。
在職3年目。普段は靴紐や靴の金具など、靴の材料を扱う会社を営む。
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皆がケガをしないで
祭りを楽しめるように
三社祭は、地域の人の手によって行われる地域の祭りです。浅草には44の町会があり、それぞれの町会が町会長を頂点に、青年部や婦人部などの下部組織を持っています。三社祭のような大きなイベントでは、この青年部や婦人部が裏方として、あるいは実働部隊として大活躍します。
早朝の宮出しから神輿を担いで町内を練り歩き、夜になって宮入りするまでの行程を「渡御(とぎょ)」と言いますが、この「渡御」の間に誰もケガすることなく、神輿の行列がスムーズに進むように現場を仕切るのが、三社祭における町会青年部の重要な仕事です。緑色の「警備半纏」を着て祭りを自主警備したり、神輿が出発する時、タイミングよく台座を外す「馬抜き」という仕事もあります。何しろ朝6時の宮出しに1万人の人たちが集まるのですから、ほんの少しのミスで、大勢の人が事故に巻き込まれる恐れがあります。祭りの時はいつも、「皆がケガをしないように」というのが、私たちの至上命題です。その年の3月頃から会合を何回か重ね、三社祭当日までに万全の準備を整えます。
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東部町会は若者が多い
活気がある地区
さて、44町会はそれぞれ、西部町会、南部町会、東部町会の3つに大きく分かれています。その中で東部町会は、属する町会が12町と一番少ないながらも、「青年部」に名実共に「若者」が多い、活気のある地区です。12町の青年部長で、一番下が28歳で上は34歳。他地域では50歳でも「青年部」、という町会もありますから、東部町会の「若さ」はちょっとした自慢です(笑)。ただ、昔は「担ぎ手はその家の長男でなければいけない」などの決まりがある町会もありましたが、人手不足の地域も多く、身元がしっかりしていれば友人・知人の参加も認めるところも増えてきているようです。
また、私が「青年部」に入団した20年前くらいは、ほとんどが自営業の人たちでしたが、今は勤め人が多く、会合の日時を決めるのも一苦労です。それでも、東部町会青年部では、「楽しくなければ祭りじゃない」という共通の想いを持って、和気あいあいと三社祭に取り組んでいます。よく、青年部員は周りの人たちから「楽しそうだね」と言われます。他の地域からみれば、真剣さが足りないと思われるかもしれません。けれど、祭りは「和」が大事だと思うんです。青年部の活動は華やかですが、300〜400人分のおにぎりを握ったり、子供に配るお菓子を用意してくれる婦人部など、多くの人が動いてくれているからこそ、祭りはできます。そのことを忘れずに、皆で楽しくやりたいですね。
ホンモノの人情に触れたいなら
観音裏の東部町会へ!
仲見世や雷門周辺などいわゆる「表」の浅草は、三社祭ともなれば地域の人たちだけでなく全国から押し寄せる観光客でてんやわんやです。でも、東部町会がある、観音様の裏の、いわゆる「観音裏」の地域は、三社祭ともなれば親戚や友人・知人が集まってきて、皆で祭りを楽しもう、という雰囲気があります。昔は、花柳界があった大人の社交場とも目された地域でしたが、今は、靴などの地場産業の会社が多く見られます。華やかさはありませんが、祭り当日は、知らない人でも「ちょっとお酒、飲んでいきなさいよ」「おにぎり、一つどう?」というような声を気軽にかけてくれるような、懐の深さがあります。下町の本物の人情に触れたいのなら、ぜひ東部町会のある「観音裏」にも足をのばして来てみてください。
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